第54回「日米の一体化」こそ戦争を防ぐ力 佐々江元駐米大使が語る日米同盟
政府は昨年、安保関連3文書を改定し、13日に日米首脳会談も行われました。政府が設けた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の座長を務めた佐々江賢一郎元駐米大使は「日米の一体化」を進めることが戦争を防ぐ力になると語ります。
――日本の安全保障政策転換の背景には何があったのでしょうか。
出発点は東アジア地域で、中国や北朝鮮などの軍備増強による通常兵力の不均衡でした。以前なら圧倒的な米国の戦力に依存すれば、心配はありませんでした。現在は、米国とともに地域の同盟国も努力する必要が出てきました。その努力の一つが、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力の保有です。
そして相手の軍事動静の監視や攻撃に対する反撃などは、日本だけでなく、日米共同で対処する方が、抑止力としてより有効です。
日米が守備も反撃も一体化、統合的に抑止すべき
日米は従来、「盾と矛の関係」と言われてきましたが、日本も部分的な矛を持つことになります。できることは独力でやりつつ、拡大する事態に備えて、米国と一緒になって守備も反撃も一体化し、統合的に抑止すべきです。
同様に、米韓も同盟強化に努…
- 【視点】
佐々江氏は座長として「国民に透明性をもって説明してほしい」と政府に提言したとのことだ。極めて重要な点だが、この提言は政府に生かされたのだろうか。 15日、訪米中の岸田首相はワシントンで記者会見し、反撃能力保有や防衛費の増額について、「