虐待、パパ活、「福祉ガチャ」… 19歳が逃れ、たどりついた居場所
「どうしたらいいかわかんない。でも、もう無理」
2021年4月。音羽(おとは)さん(19)=仮名=は京都府内のコンビニの前で、泣きながら電話をかけていた。
15年ほど前。幼稚園のころから、両親からの虐待を受けてきた。
着替えや食事をうまくできないと、時には裸のまま玄関の外に出された。自宅での勉強も、教材が終わるまで許してもらえず、泣きながらやった。
マンションのベランダから、下を眺めるくせがついた。
「自分は何もできない子なんだ」
両親からの虐待は、成長しても続いた。
気に入らないことがあると、首をしめられ、水をかけられる。父親から、寝ている時に胸を触られたり、一緒にアダルト動画を見させられたりしたこともあった。
「これは虐待なんだ」 中学の時に気付く
中学生の時、友だちに話した。
「こないだ親からコップ飛んできて、マジで危なかったんだよね」
友だちはぎょっとした。
「虐待じゃない?」
もしかして……。虐待や一時保護について調べ始めた。そして、気づいた。
「これは虐待なんだ」
当時、通っていた病院の医師に初めて泣きながら打ち明けた。大人たちの助言で家を出ることを決めた。
中3の冬。「午後10時半に迎えに来て」と親に伝え、塾が終わった午後10時からわずか30分間で警察に通報し、児童相談所に一時保護された。
以来、父方と母方の祖母の家にそれぞれ数カ月から1年ほど暮らし、高校に通った。
両親が祖母の家に来た時は、トイレに逃げ込んで、イヤホンで好きなアーティストの曲を大音量で聴いた。ノックされても、絶対に出なかった。
「自分の部屋とかトイレとか。鍵がかかる場所じゃないと安心できないんですよ」
SNSにつぶやいた「誰か助けて」
祖母の手術を理由に、祖母宅を突然出なければならないと言われた。児相には「絶対家に帰りたくない」と訴えた。
児相も気持ちをくんでくれようとしたが、親が強硬に反対。担当の心理士に「逃げてもいいから(試しに親と)お泊まりして」と言われた。
仮宿泊は6回したが、すべて…
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- 【視点】
虐待を受けて育ったこども・若者のリアルな状況が伝わってくる。家庭で過ごすことができず、一時保護所や児童養護施設なども出ることになってしまった若者にとって居場所がなければ、アンダーグラウンドな世界に引きずり込まれてしまう。 そういう若者
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