50万人超犠牲の虐殺「重大な人権侵害」 インドネシア大統領認める
インドネシアのジョコ大統領が、1965~2003年に起きた12の事件について「重大な人権侵害があった」と認めた。死者数が50万人超ともいわれる虐殺のきっかけとなった1965年のクーデター未遂事件「9・30事件」も含まれており、大統領の表明が国内外の注目を集めている。
ジョコ氏が11日の会見で明らかにした。昨年8月に立ち上げた人権侵害問題解決チームからの報告を受けて記者会見し、被害者の権利回復に努める方針を示した。16日にはジョコ氏が生存者や遺族との面会に国内の複数都市を訪問することも発表された。
過去にも現職の大統領が「人権侵害」を認めたことはあったが、権利回復のための実際の取り組みは実現してこなかった。
インドネシア国内ではジョコ氏が「人権侵害」を認定した事件のなかに、「9・30事件」が含まれていることが話題になっている。
映画の題材にもなった虐殺
9・30事件は冷戦下のインドネシアで、国軍と共産主義勢力の対立の溝が深まる中で起きた事件だ。
1965年9月30日から10月1日にかけて、国軍幹部の将軍ら7人が共産党系軍人に殺害された。事件はインドネシア共産党(PKI)が首謀したとされ、その後、関係を疑われた多くの市民らが虐殺されたり、投獄されたりした。犠牲者数は50万人とも200万人とも言われている。
虐殺については事件への関与を認めた国軍幹部もいるが、犠牲者数や経緯など、真相が究明できていない部分が多い。虐殺に関わった人物らを題材にした2012年公開の映画「アクト・オブ・キリング」は世界的な注目を集めた。
名誉回復、どこまで踏み込むか
大統領のこの表明を関係者らはどう見るのか。
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