「生涯負けなし」の阿武咲 青森・三本木農高の同期に見せた一歩
内田快 鈴木健輔
勢いをつけるように両手をついて阿武咲が立った。ガツン。頭同士が激しくぶつかる。ひるまず左足をぐいっと踏み込んだ。錦富士の中に入って左を差すと一気に寄り切った。
「小さいころから知っている相手ですので、負けたくない気持ちはあります」。10日目で勝ち越しを決め、誇らしげに言った。
ともに1996年7月生まれで青森県出身。幼いころから土俵で競い、三本木農高相撲部でも一緒に汗を流した仲だ。
阿武咲についての記事の後には、休場した豊昇龍の「変化」についてのコラムも掲載しています。八角理事長が変化をよしとしない理由は、美学だけではありません。
長きにわたってリードしてきたのは阿武咲だった。
子ども時代の阿武咲は錦富士に負けなし。高校1年生のときは国体少年の部で優勝した。高1で中退して入ったプロでも瞬く間に頭角をあらわし、21歳3カ月で新三役というスピード出世を果たした。
ただ、けがもあり停滞してい…