献血「非常に厳しい状況」 新型コロナ8波が影響
新型コロナウイルスの感染拡大で、献血者が減っている。年末年始以降、必要な量を確保できない状態が続いており、熊本県赤十字血液センターは「このままでは、月末には医療機関への安定的な供給が厳しくなる」と危機感を募らせている。
同センターによると、今月1~16日の間で、県内では400ミリリットル献血で180人分程度が計画量に対して足りない状況だ。血液からつくる輸血用血液製剤をお互いに融通しあう九州・沖縄全体では600人あまりの分が足りない。
17日朝の段階では、貧血などの治療に使われる赤血球製剤の在庫率はA型、B型がそれぞれ87%、94%と100%を下回っている。献血推進課の仁田尾正高・推進二係長によると、100%はおよそ3日分の在庫だといい、「今はぎりぎり。このままでは月末はかなり厳しい」と話す。この献血状況が続けば、ともに27日には8割を切る予測だという。
県内では12月中旬から、計画量との差が大きくなり始めた。センターが原因とみているのが、新型コロナウイルスの第8波だ。インフルエンザの流行もあり、献血バスを出しても人が集まりづらいという。加えて、行動制限がなかった年末年始は出かける人が多く、協力者が減った可能性があるとしている。
新型コロナウイルスに感染したり、ワクチンを打ったりした場合でも、献血は可能だ。感染した場合は症状が消えてから4週間▽濃厚接触者と判断された場合は、感染者との接触から2週間▽ファイザー、モデルナのワクチンを打った場合は接種後48時間――が経てば、献血できる。献血会場は感染対策をしているが、予約すればよりスムーズだという。
熊本では特に、若い人の献血が少ない傾向があるという。同センターでは3月末まで、学生か、20代までで初めて献血する人にモバイルバッテリーをプレゼントしている。
仁田尾さんは、血液製剤の大部分はがんなど病気の治療で使われているとして「毎日、安定的に必要なもの。献血可能な方は、ぜひ今、お願いしたい」と呼びかける。(杉浦奈実)
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