筑豊で芽生えた「浅く耕す農業」 農家の負担減らし、気候変動と闘う

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編集委員・石井徹
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現場へ! 耕さない農業④

 福岡県福智町の山口忠秋(71)が、大豆栽培で浅く耕すようになったのは、2017年に田川農協(JAたがわ)の研修会に参加したのがきっかけだ。

 「部分浅耕(せんこう)1工程播種(はしゅ)」。種をまく部分は2~3センチしか耕さず、種まき前の土の掘り起こしを省略する。開発者の川村富輝(よしてる)(56)は当時、県飯塚農林事務所田川普及指導センターにいたが、田川地域で取り組む農家はまだいなかった。だが、山口は「労働時間の短縮と負担軽減になる」と考えた。

 筑豊炭田として栄えた田川地域の農地は、地盤沈下のかさ上げなどで地力が低く、排水も悪いところが多い。区画も小さくて不整形なので県内では収量が低く、大豆の生産者の集まりは10年以上前に消滅していた。

 福智町役場職員を退職した1…

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