出産方法をネットで検索 赤ちゃんは息絶え、そして暗闇に隠された

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高橋俊成
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 成人になって間もない男女はホームレスになって冬の街をさまよった。女は妊娠していたが、家族に知られたら別れさせられると考えて病院には行かなかった。真夏の早朝、流れ着いたホテルで破水。男は「ホテル 出産 どうすればいいのか」とネットで検索しつつ、生まれたばかりの赤ちゃんを取り上げた。だが、ほどなく新たな命の灯は消えた。

 昨年12月8日、名古屋地裁で開かれた初公判。被告の男(22)も女(21)も起訴内容を認めた。5カ月前の7月3日、名古屋市の繁華街にあるビジネスホテル客室の天井裏に乳児を隠したとして死体遺棄の罪に問われていた。

 検察側の冒頭陳述や被告人質問でのやり取りから事件に至る経緯が浮かび上がった。

 2人は2020年7月、職場の物流会社で出会う。約1年後に交際を始め、まもなく会社を辞めた。

 交際は家族に祝福されていたわけではない。弁護側の証人に立った女の姉がはっきりとした口調で説明した。

 弁護人「交際は知っていたか」

 姉「『今回はやめといたほうがいい』と伝えた。(男が以前に)元カノに子どもをおろさせたと聞いて、『無責任だし、やめときな』と言った」

 弁護人「交際後は何か言ったか」

 姉「年齢も年齢なので、避妊して勝手な行動はしないように伝えた」

 最初は交際を見守っていた女の両親もやがて反対するようになる。だが、女は家族の忠告に耳を貸さないまま交際を続けた。姉が女に最後に会ったのは21年9月ごろ。その後、LINEや電話への返事はなくなった。

 当時2人は男の祖母方に身を…

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