山梨県知事選、甲府市長選を前に有権者に聞く

米沢信義 吉沢龍彦
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 山梨県知事選と甲府市長選は22日に投開票される。今回の選挙で選ばれるリーダーに、何を期待し、何を争点として一票を投じるのか。有権者に聞いた。(米沢信義 吉沢龍彦)

 甲府市中央1丁目の銀座通り商店街は平日の昼間、中心市街地にもかかわらず人通りはまばらだ。商店街協同組合の穴水昭弘理事長(51)は「コロナ禍で客足が遠のき、戻るかと思ったら、物価高で仕入れ値が跳ね上がる。地域は疲弊している」と表情を曇らせる。

 大型駐車場を備える郊外店の攻勢に押され、中心市街地の衰退が続いて久しい。中心街の大型店は相次いで閉鎖し、商店街もシャッターが下りたままの店が増えた。

 そこに降りかかったコロナ禍。40年以上続くおにぎり屋を営む穴水さんは、エアコンを取り換え、トイレを改修するなどして、県が導入した、感染防止対策のグリーン・ゾーン認証を取得した。それでも「緊急事態宣言やまん延防止措置が続いた時はきつかった」と明かす。

 困ったのは、商店街に人を呼び込もうにも「密」になるイベントは開けないことだった。

 昨年7月、3年ぶりに甲府七夕祭りを開いた。七夕飾りの下に屋台が並び、活気が戻った。10月に開かれた信玄公祭りでは、過去最高の人出でにぎわった。

 「とりあえずイベントができるようになったことはうれしい。郊外に負けない中心街の良い点は飲食店が集中していて『はしご』ができること。期待する店は多い」

 ただ、日常に戻ると現実は厳しい。隣接する岡島百貨店は、2月14日に閉店し、売り場面積を縮小して移転先で再出発する。

 「まちの集客力はますます落ちるでしょう。商店街への影響は大きい」。そこに物価高が加わる。穴水さんの店でも、おにぎりの具となる魚介類の仕入れ値が大幅に上がった。「値上げは抑えているが厳しい。飲食はどこでも同じ」

 この選挙で、最も注目しているのは経済政策だ。「数十年前と違ってまちなかに人を集めることは難しい。でも甲府の中心市街地は山梨県の顔でもある。観光客をどう呼び込むかも考えてほしい」

     ◇

 「現在、子どもの育ちに大きな問題が起きている。私は戦後最大の危機だと思っています」

 甲府市の認定こども園、聖愛幼稚園の園長で、県私立幼稚園連合会の会長を務める鈴木信行さん(68)はそう力説する。文部科学省の調査で、不登校やいじめの数が毎年のように過去最多を更新しているからだ。「背景には家庭内の虐待や子どもの貧困がある。そして、本当に支援が必要な家庭に支援が届いていない」と語る。

 就学前の子どものほぼ100%が幼稚園や保育園を利用しており、健やかな成長のためには保育環境の向上が欠かせない。だが、どの施設も恒常的な人手不足に苦しんでいる。他県では園児が送迎バスに置き去りにされたり、保育現場で虐待されたりして死亡する事件が相次いだ。構造的な問題があると考える。

 鈴木さんは、政府はひと昔前と比べて子ども・子育て支援の施策を充実させたと感じている。だが、多くの市町村で使いこなせていないと指摘する。事業費の一部を市町村が負担することが前提で、自らの財政では「賄えない」と判断されるケースが多いという。

 甲府市内のこども園設置者の団体は昨年末、政策提案の文書を市に提出した。保育士確保の具体策を講じることや国庫補助事業の積極的活用などを求める。鈴木さんは「政策の優先順位を決めるのは政治であり、首長。選挙では子どもの未来を大切にするのかを見きわめたい」と話す。

     ◇

 家庭内暴力(DV)に苦しむ女性を支援し、避難先のシェルターも運営する民間団体が山梨県内にある。2006年に設立され、県の女性相談所とも連携している。だが、運営に携わる女性は「県からの助成金はほとんど受けたことがない」と打ち明ける。

 昨年度、初めて5万円の補助金を申請した。手続きにかなりの手間と時間がかかり、結局全額を使い切れなかったという。「女性支援に関する県のスローガンはすごいけれども、絵に描いた餅なのではないか」と疑問に思っている。

 性差別の解消や女性活躍推進を目指す活動の拠点として、県内3カ所に設けられた県の施設「ぴゅあ」(県立男女共同参画推進センター)の統合方針を知ったのも、県の一方的な発表だった。女性団体から反発が起き、代替施設の設置が決まったことは記憶に新しい。

 「知事選の3候補の女性支援に関する訴えはすべて聞いている。現職についてはこの4年間の実績もチェックして、誰に投票するかを決めます」

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