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日本の閉塞感、打ち破るカギは「不自由」から生まれる 長野智子さん

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聞き手・鈴木彩子
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 キャスターの長野智子さん(60)は、女性が年齢を重ねながら健やかに働き続けるために、企業や国がすべきことがあるといいます。それが男性にとっても、閉塞(へいそく)感を打破するカギとなるかもしれません。

 ――若いころは生理痛がひどくても周囲に言えなかったそうですが、女性が自分の体と向き合いながら働くために、企業が対策すべきことはありますか。

 私たちの時代に比べたら、今はだいぶ良くなってきていますよね。ちょっと生理です、更年期です、という話を普通に言える環境になってきています。

 ただ、不妊とか、妊娠・出産ということに会社が本気で気を配るなら、単に「不妊治療休暇」などをもうけて終わりにしてほしくありません。仕事を普通のモードでこなしながら、昼休みに病院に注射をしに行く「ちょっと出」みたいなことを認めるとか、そこまでやってほしいと思います。

 もはや、女の人が家を守って男の人だけが仕事、というパターンでは日本の経済は立ち行きません。家庭の経済も持ちません。そういう時代なのだから、ここは腹をくくって、会社も本気で向き合わなければいけないと思いますね。

 でも本来は、政府が旗を振らないとダメだと思います。そこが、一番足りていない。「女性活躍は一丁目一番地です」と言うのに、肝心かなめの環境整備がすごく遅れている。ここをどう整合性をつけていくかが大事だと思います。

 ――環境整備のためには、女性の声が不可欠ですよね。

 そうです。意思決定層に女性を増やすことは、最低限、必要なことです。男性だけだと、悪気はなくても気がつかないことがありますから。

 ヘルスケアやウェルネスに目配りができない会社は、女性が働きづらくなり、優秀な労働力を失う。利益にも結びつかなくなって、存続できなくなるかもしれない。そういった意味でも、きちんと多様性のある人たちを意思決定層に持ってくることはマストです。

このままでは「200年変わらない」

 ――政治も変わらないといけない。

 むしろ、かなめの国会の働き…

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    岡崎明子
    (朝日新聞アピタル編集長=医療、科学)
    2023年1月23日8時9分 投稿
    【視点】

    クオータ制について議論すると、必ず「女性優遇策ではないか」という反論が出ます。では男性はこれまで、優遇されてこなかったのでしょうか。 たとえば働く現場において。「採用試験の結果は、女性の方がいいんだけど……」といいつつ、なぜか採用数は男性