新幹線の停電から始まった「死の恐怖」 身動きとれなくなった品川駅
昨年12月に東海道新幹線が停電し、東京―新大阪間で最大約4時間運転を見合わせたトラブル。運転再開後、一部の駅では降車した乗客が改札内のコンコースに殺到していた。大きな事故には至らなかったが、JR東海は当時の対応に問題がなかったか調査している。専門家も「非常に危ない」と指摘する現場で、何が起きていたのか。居合わせた乗客の証言からたどった。
12月18日午後8時ごろ、東海道新幹線の品川駅。会社員男性(31)は、「危ない」と口々に叫ぶ乗客でごった返すコンコースにいた。
男性は、新大阪駅から東京駅に戻る車内で「東京駅は混雑しているので品川駅で降車を」という趣旨のアナウンスを聞き、一つ手前の品川駅で下車した。
品川駅はホームが階下にあり、改札があるコンコースのフロアにはエスカレーターや階段で上る構造だ。男性はまったく前に進めず、「自動改札が機能していないのでは」と思った。混雑で下が見えない中、キャリーバッグを引いている乗客も多く、足元も不安だった。
その場に立ち尽くしていると、後続の新幹線を降りた乗客が、エスカレーターで次々とコンコースに上がってきた。しかし、前には進めない。だんだん身動きがとれないほどになった。
「韓国の事件のようになるぞ」
「(エスカレーターを)止め…
- 【解説】
あの停電事故の際、JR品川駅では大混乱が起きていました。幸い、けが人はなく、大きな事故にはなりませんでしたが、「死を意識した」人もいたようです。なぜこんなことが起きたのか、記者が問題意識を持ち続けた良記事です。 特に、改札付近に人がたまる