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公立小教員の採用試験、受験者数が続落 異例の定員割れも 朝日調査

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塩入彩 武田啓亮 編集委員・氏岡真弓
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 公立小学校教員の2023年度採用試験の受験者が、全国で3万8641人だったことが各地の教育委員会への取材でわかった。文部科学省が昨秋公表した22年度採用試験の受験者数より約2千人少なく、教員の長時間労働が問題となるなか、受験者数の減少傾向に歯止めがかからない状況が浮かんだ。大分県では、受験者数の減少により異例の「定員割れ」が起きた。

 23年度採用試験(22年度実施)について、公立学校教員の採用試験を実施する47都道府県と20政令指定市の教委、大阪府から教員人事権を移譲された豊能地区教職員人事協議会の計68機関に対して、文科省の例年の調査と同様に受験者数を尋ね、採用見込み数と合格者数も併せて聞いた。採用見込み数は退職者数などを加味して教委が決める数で、事実上の「募集定員」として試験実施要項などに記される数だ。

 文科省の調査では、公立小教員の採用試験の受験者数は1993年度の3万4735人が過去最低で、94年度(3万7392人)まで3万人台だった。その後増加傾向が続いたが13年度から減少に転じ、昨年9月に文科省が発表した22年度採用試験の受験者数は、4万636人だった。

 今回の取材で判明した23年度採用試験の受験者数は、それより1995人少ない3万8641人だった。地域別に見ると、全体の7割にあたる48機関で受験者数が22年度(文科省調査)を下回った。

大分県は受験者数が採用見込み数を下回る

 合格者数が採用見込み数を割…

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    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2023年1月20日8時22分 投稿
    【提案】

    学校に専門職・サポートスタッフとお金を増やしませんか?教員不足は国も地方も義務教育に投資を怠ってきた結果起きています。 大学で教員養成をしていると、教員免許取得見込の若者たちが教員採用試験をやめる最多の理由が長時間労働です。 子

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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2023年1月20日10時44分 投稿
    【解説】

    『4月1日に新任教師が辞表を…先生たちを疲弊させる「書類の山」の中身と背景』のタイトルで記事を書いたことがあります。昨年ある地方都市の小学校で、まだ学校が始まってもいない4月1日、赴任予定だった新卒教員が突然退職届が出されました。企業であれ

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