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大規模災害に備え 「要配慮者」避難訓練、山間部の医療品の供給協定

勝部真一 高田純一
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 和歌山県内で19日、大規模災害にそなえた避難訓練や医療面の支援協定の締結式があった。自治体と民間が協力し、いつやってくるか分からない巨大地震などへの準備が進められている。

 災害時に障害者や高齢者ら支援が必要な人が避難する「福祉避難所」の開設を想定した合同避難訓練が19日、白浜町の「ホテルシーモア」であった。

 白浜町はシーモアを運営する「白浜館」と福祉避難所の設置に関する協定を2021年3月に結んでいる。避難生活が長期間に及ぶような大規模災害の際、高齢者や障害者ら「要配慮者」が、町内の避難所から二次的に避難できる場所となっている。

 訓練は日本赤十字社和歌山県支部白浜町分区(事務局・町民生課)が、町障害福祉サービス等事業所連絡会との共催で、午前と午後の2回に分けて初めて開いた。午前の部には町内の障害者施設の職員や民生委員ら約80人が参加した。

 参加者らは、福祉避難所や避難所の資材、災害発生時の対応などについて町や消防本部の職員から説明を受けたあと、「避難所運営者」と「避難者」に分かれて避難者の受け入れなどを体験した。

 受付では避難者役が記入する情報に基づいて「身体」「知的」「精神」の各障害の種類や「体調不良」「周囲に過敏」「身体に配慮」など避難者の状態に応じて、施設内で区分された避難先に振り分けていった。

 受け付けを担当した民生委員の女性は「多くの人が並んでいるので、急いで判断しなければならなくて難しかった。記入する項目が色分けされていたら見やすかったと思う」と話した。町では今回の訓練で浮かび上がった課題などを参考に、今後の開設や運営の方法をまとめていきたいとしている。

 高野町は19日、医薬品卸のスズケン名古屋市)と大規模な災害時に医療品を提供してもらう協定を結んだ。救護所や避難所などで必要になる包帯やガーゼ、脱脂綿などを供給してもらう。

 山間部の高野町は大地震の発生などで物資の確保が困難になる地域とされ、町は非常時の医療品を確保する態勢づくりを進めていた。

 スズケンは和歌山市加納にある和歌山営業部紀北支店内に医療品を備蓄しており、災害発生時に紀北地域を中心に1、2カ月分の適切な供給が可能だという。すでに岩出や紀の川、かつらぎ、九度山、橋本、田辺、御坊の7自治体と協定を結んでいる。

 平野嘉也町長は「災害時、山間部の町にとって、物流が途絶えた時に近場から確保できるのは心強い」と話した。

 スズケンの軽尾政明・和歌山営業部長は「山間部で道の寸断などもありうるので、いざというときのためにいろいろな搬送手段を考え、準備しておきたい」と話した。(勝部真一、高田純一)

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