19歳で突然ヤングケアラーに 母の「呪い」に気づいた娘は爆発した
江戸川夏樹
2020年5月、母は82歳で亡くなった。最期の地はパキスタン。7年前、三原理絵さん(45)が一緒に日本を出てパキスタンへ移住しようと誘うと、75歳の母は応じた。亡きがらは、現地の墓地に埋葬された。
棺にバラの花束を置きながら、三原さんは思い出していた。
母との間には長らく「壁」があった。この地に来たのは、母の「呪い」が解けたから……。
三原さんは19歳でヤングケアラーとなった。
当時56歳だった父親が脳梗塞(こうそく)で倒れ、手術後も右半身にまひが残った。三原さんが専門学校を卒業し、百貨店への就職が決まった矢先の出来事。キラキラのネイルや化粧をして、給料をもらって友だちと遊び歩く。そんな計画が崩れ去った。
母親は依頼心が強かった。
「絶対に子どもは女の子って、お百度参りをしたの。女の子なら、老後も面倒を見てもらえるでしょ」
なぜパキスタンへ? 母娘の壁を壊すまでの10年
幼い日から母親はいつも、三…
- 【視点】
ヤングケアラーについて2020年に厚生労働省が行った調査では、対象となった中学校の46.6%、全日制高校の49.8%にヤングケアラーがいることが指摘されています。ヤングケアラーと思われる子どもは、中学校、全日制高校ともに、「学校を休みがち」