「校則を変えるなんて、どうせ無理だ」
サザエさんの4コマ漫画からにじむのは、そんな生徒の諦めだ。
1958年に朝日新聞に掲載された漫画の舞台は、「長髪禁止」のとある高校。生徒の丸刈り頭を確認した教師が「よろしい」と満足げな表情を浮かべる。
だが、生徒はマスクの下に、おそらく校則違反であろう口ひげを隠すというせめてもの抵抗を見せていた。
当時、実際に「レジスタンス」を決行した生徒が処分される事件が起きている。
漫画が掲載された前年、茨城県立高校で長髪禁止反対運動を行った3年生ら10人が退学や停学に。水戸地方法務局は「長髪禁止は生徒の人格を無視するおそれがあり問題だ」と県教委に勧告した。
現代の社会通念では考えられない「丸刈り校則」だが、かつては珍しくなかった。
武庫川女子大・学校教育センターの大津尚志(たかし)准教授によると、丸刈りは日清戦争で軍人に広まったのを機に一般に普及。「質実剛健」の教育方針とも結び付いて学校現場に浸透し、校則に取り込まれた。
高校の丸刈り校則は70年ごろの学生運動を機に廃止が進んだ。一方で、70年代後半から社会問題化した校内暴力を抑え込もうと、主に中学で頭髪や服装などの規定が厳格化された。
80年代には世論の批判が高まり、文部省が校則見直しに動くなどして、中学の丸刈り校則も次第に姿を消した。
大津さんは「今もツーブロック禁止など理由の不明な校則が残る。理由や合理性が説明できない校則はやめるべきだ」と話す。
記事後半では、生徒や教師らが「対話」を通じて校則の見直しに取り組む事例も紹介します。
近年、生徒の人権を侵害する「ブラック校則」が問題視されるようになった。
きっかけは2017年、大阪府立高校の女子生徒が生まれつき茶色い髪の毛の黒染めを強要されて不登校になったと訴えた裁判だ。
「ブラック校則をなくそう! プロジェクト」が18年に調査したところ、「下着の色を白に限定」「冬でもマフラーの着用禁止」「くせ毛を直すよう強要」などの事例が寄せられた。
理不尽な校則や指導は、なぜなくならないのか。
名古屋大大学院の内田良教授…
- 【視点】
認定NPO法人のカタリバが、全国的に校則改革を動かしていてとても心強いです。いまは、報道にならないレベルで、各地で校則の見直しが進んでいます。 記事でとりあげられている、「生徒の人権に関わるため、学校の責任で変えないといけなかった」との小
- 【視点】
ニューヨーク大学大学院に通っていた頃、学生たちがイスの上であぐらかいたり、バナナ食べていたり、普通にグミが回ってきてみんなで食べながら議論したりと日本ではありえない光景にまずビックリ。さらには授業中、学生が教授の話すことを平気で批判したり、