刑事に「性的少数者」の視点を 性犯罪捜査の現場が当事者に学ぶ意味
埼玉県警深谷署の杉山渓一郎巡査部長(27)は職務中、自分の思い込みを反省したことがある。
性被害の相談を受けた時だった。相談に来たのは、法律上は女性だが、男性として生きる人だった。そして、加害者は男性パートナーだった。
杉山巡査部長は「パートナーは異性」と思い込んでいた。そのため「言葉遣いで傷つけたかもしれない」と振り返る。
ただ、被害者から事情を打ち明けてもらえたことで、その後の捜査がうまくまわったという。
「勇気を出して相談に来た人が何も心配することなく話ができるよう、適切な知識を身につけたい」
性的少数者の被害の実態把握の難しさ
杉山巡査部長が昨年10月にこう話して参加したのは、県警が性犯罪捜査を担当する刑事に対して開いた講義だ。
講師に立ったのは、山崎和舞(かずま)さん(31)と池田カンタさん(29)。2人は女性として生まれ、その後、男性と自認する「トランスジェンダー」だ。
2人は刑事24人を前に、性的少数者について「13人に1人の割合でいる。左利きと同じくらい」などと説明。「姉のお下がりが嫌だった」「髪を短くしたかった」と幼少期の悩みを明かし、「理解を深めて」と呼びかけた。
性犯罪捜査には被害者の協力が欠かせません。少しでも被害者の心情に配慮できるように。模索が続きます。
全国の警察が2021年に把…

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