「水」で動かす人工衛星 宇宙をクリーンに、東大発ベンチャーの挑戦

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玉木祥子
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 安全、低コスト、持続可能――。これら三拍子がそろった人工衛星の「水エンジン」の開発に、東京大発ベンチャー「Pale Blue(ペールブルー)」(千葉県柏市)が取り組んでいる。いよいよ宇宙での実証が始まりそうだ。

 開発した水エンジンは、水蒸気や、水蒸気を熱して生成した水のプラズマを噴き出すことで、人工衛星の軌道修正や姿勢制御をする仕組みだ。

 推進剤としてよく使われるのが、ヒドラジンのような有毒物質や、キセノンクリプトンといった希少ガス。高性能で大きな推力を得られるが、毒性が高いと取り扱いが難しく、希少な素材はコストがかかる。

 一方、水は無毒なうえに入手も簡単。水が存在する月で補給すれば、人工衛星がさらに遠くの宇宙をめざせるという。

 浅川純社長(31)は東京大で航空宇宙工学を専攻。博士課程から小泉宏之准教授の研究室で水エンジン研究を始めた。社会実装をめざし、2020年4月、長年研究してきた小泉准教授とともに計4人で同社を設立した。

 そして今、水エンジンは、実戦投入されつつある。

 昨年11月に打ち上げられた超小型探査機「EQUULEUS(エクレウス)」には、東大在学中の浅川さんらが中心となって開発した水エンジンが搭載された。軌道修正にも成功し、飛行は順調。約1年半かけて月の裏側をめざす。

 同社としての宇宙実証も始まる。昨年10月に打ち上げは失敗した、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「イプシロン」6号機に搭載された人工衛星で、実証する予定だった。

 今年1月3日、スペースX社のファルコン9ロケットで、ソニーなどが開発した超小型人工衛星が打ち上がった。この衛星に同社の水エンジンが搭載されており、2月ごろ目標の軌道に投入予定。これが初実証となる。

記事後半では水エンジンのさらなるメリットと、ペールブルー社の強みについても解説します。

 人工衛星の小型化が進み、企…

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