シンデレラ体重のはずが被害相次ぐ「やせるゼリー」 米国では死亡例
「食べたらやせる」とうたってSNSなどで販売されるゼリーをめぐり、健康被害の相談が自治体に相次いでいる。問題の商品には国内未承認の医薬品成分が含まれ、成分を摂取後に死亡した例も米国では報告されているという。警察も関係者の捜査を進めている。
「このゼリーを食べるだけでやせるんです」。兵庫県の30代女性は昨年3月、ネットの配信動画で同年代の女性が語るのを見て興味を引かれた。数カ月前の配信に出演していた人が、見違えるほどやせていた。
紹介されていたのは「デトキシレットゼリー」。ベトナム製だという。ツイッターで販売側に連絡すると、LINEでやりとりが始まり、「食べ方のサポートも受けられる」と案内された。
指定された口座に8800円を送金すると、LINEグループに招待された。購入者らしい100人近くがダイエットの成果を報告し合っていた。このゼリーを信頼できるような気がした。3日後、2箱(30本)が届いた。
翌朝、「ブラックカカオ風味」と書かれたバー状の黒色のゼリーを食べてみた。すさまじい苦みで、いつまでも口に残った。食欲は湧かず、昼食は抜いた。少し心臓がドクドクする感覚もあった。
午後6時ごろ、コンビニで突然激しい動悸(どうき)を覚え、思わずその場にしゃがみこんだ。30分ほどで収まったが、怖くなって翌日は食べられなかった。それでも、販売側から「1日1本。慣れるまで時間がかかる」と説明され、2日に1本のペースで口に運んだ。
販売側はLINEグループで、「私も『シンデレラ体重』以下を目指しているから気持ちはわかる」と標準を著しく下回る体重を求める気持ちをあおるような文言で、食べ続けるよう呼びかけていた。
女性は12日間で体重が4・5キロ減ったが、動悸や頭痛に悩まされた。販売側に「体調不良になった」と伝えると、「営業妨害だ」と返信があり、怖くなってやめた。
その後、保健所に健康被害を訴えてゼリーを提出すると、鑑定で国内未承認のシブトラミンが検出された。女性は「販売側は配信動画で、『マジごめん』と謝るだけだった」と憤る。
SNS口コミ信じたら…相次ぐ健康被害
福岡県の会社経営の女性(32)も昨年4月、動画でゼリーを知り、注文した。それまでも医師の処方で肥満治療薬を服用するなどダイエットに取り組んできた。レターパックで届いたゼリーを食べた数時間後、自宅で洗濯物をたたんでいると動悸に襲われた。
販売側からは「1日2、3本…