私立中授業料「10万円」助成へ 東京都で急浮上した異例の予算案

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本多由佳 笠原真
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 東京都が、新たな子育て支援策として、私立中学生がいる世帯に年間10万円を助成する方向で最終調整している。新年度の予算案発表は、もう目前。異例の事態だ。

 関連費は約40億円となる見通し。世帯年収910万円未満の家庭が対象という所得制限付きになりそうだ。都内では、私立中学生がいる家庭の半数前後が対象になるとみられる。

 文部科学省の調査では、2022年度は都内の中学生(約31万3千人)の25・5%が私立中に通う。23年度の年間授業料(初年度納付金などを除く)は平均49万2209円。

 全国データにはなるが、同省の別の調査によると、私立中学生がいる家庭の約4割が世帯年収1千万円未満だった。

 同じ「私立校生への助成」という意味では、都はすでに、私立高校生に対する独自の授業料軽減制度を設けている。

 対象は、今回と同じく世帯年収910万円未満の家庭。国の助成分と合わせて、都内の私立高校の平均授業料46万9千円(22年度)が最大で給付される仕組みで、実質的な無償化となっている。

私立中学生への助成案は年明けに急浮上します。きっかけとなる動きがありました。

 今回の助成案が実現すれば、私立中高の生徒を持つ家庭への支援がさらに手厚くなる。

 今回の案は、19日に自民、公明両党が小池百合子知事あてに緊急要望書を出して予算化を求めたものだ。ただ、両党は昨年末にも都へ予算要望しているが、その際は、簡単な記載にとどまっていた。

 しかも、小池知事が新年度予…

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    中野円佳
    (ジャーナリスト)
    2023年1月21日18時30分 投稿
    【視点】

    中学受験が無駄に熾烈になっている中で、行政がやるべきことは私立に行くことを支援するのではなく公立の教育を充実させることでは。もちろんそれだけが中学受験の理由ではないと思いますが、なぜ親たちが私立中学に行かせようと思うかというと、公立不信が背

  • commentatorHeader
    おおたとしまさ
    (教育ジャーナリスト)
    2023年1月22日9時39分 投稿
    【視点】

    この政策が吉と出るか凶と出るか、現時点で私にはわからない。こんなとき私は、自分の頭の回転の遅さを呪う。 たとえば教育の多様性を重視するオランダでは、学校の設置者が「公」であろうが「私」であろうが、授業料は無料だ。その意味では、今回の都の案