欧米の戦車、実戦配備は秋以降? ゲームチェンジャーになる条件は

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聞き手・加藤あず佐
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 ロシアによるウクライナ侵攻が昨年2月に始まってから、まもなく1年になろうとしています。今季のウクライナの暖冬は作戦にどんな影響を与えるのか。欧米がウクライナへの提供を検討している戦車は、戦況を左右するのか。防衛研究所防衛政策研究室長の高橋杉雄さん(安全保障論)に聞きました。

記事のポイント①欧米の戦車は数と訓練が必要。「1個機械化旅団」を編成できるか②暖冬はウクライナの勢いをそぐ③ロシアは春に大規模攻勢か

 ――米国、英国などが歩兵戦闘車や戦車の供与を決め、ドイツ製の戦車「レオパルト2」が供与されるか、注目が集まっています。こうした兵器は戦場でどう使われますか。

 端的に言えば、戦車は120ミリ砲くらいの大きな火力で、敵の戦車や陣地を撃破するもの。英国の戦車「チャレンジャー2」やドイツの「レオパルト2」ですね。

 ですが戦車だけだと、孤立すれば対戦車ミサイルに囲まれて撃たれてしまうので、歩兵を展開して戦車の周囲を警戒する必要があります。歩兵は機動的に動くため、装甲をつけた歩兵戦闘車に乗ります。これが、米国が提供を決めた「ブラッドレー」、ドイツの「マルダー」です。戦場では、戦車、歩兵、対戦車ミサイルをバランスよく展開する必要があるのです。

 ――なぜ今、こうした兵器の提供が活発に議論されているのでしょうか。

 昨年の夏までは、ロシアは動員せず、欧米も武器供与は抑え気味で、にらみ合っているかのようでした。ですが、9月にロシアは部分動員を発表し、冬にかけてウクライナへのインフラ攻撃を続けました。それに対し、西側諸国が1段階、支援のレベルを上げたということでしょう。

 ――冬場に態勢を立て直しているロシアが攻勢に出る前に戦車を供与し、ウクライナに有利な条件で停戦交渉に持ち込ませたいという狙いもありますか。

 いえ、それには遅いでしょう…

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