消えた「異次元の少子化対策」どこへ 首相、施政方針演説で表現変更

岸田政権

小手川太朗
[PR]

 岸田文雄首相による23日の施政方針演説で、年頭記者会見で強調した「異次元の少子化対策」のフレーズが「従来とは次元の異なる少子化対策」に変わった。官邸幹部は「中身として言いたいことは変わらない」と語るが、「異次元」の表現には批判の声があがっていた。

 首相は1月4日の会見で「『異次元』の少子化対策に挑戦する」と訴えたが、施政方針演説では「年齢・性別を問わず、皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と表現した。

 少子化対策では、児童手当などの経済支援や幼児・保育サービスの拡充などが検討されるが、実現には「兆円単位」の財源確保が必要とされる。

 このため、「異次元」の表現が消費増税を思い起こさせるとして、「『異次元』は使うな」という声が官邸内で上がっていた。

 立憲民主党泉健太代表は「何が異次元なのか。むしろ遅すぎる。(自民党政権が)常識的なことを今でもやっていないだけで、もっと大胆に行うことは異次元でもなんでもない」と批判していた。(小手川太朗)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    末冨芳
    (日本大学文理学部教授)
    2023年1月23日19時19分 投稿
    【視点】

    異次元、次元が違う、は自民党向けメッセージかなと。若者の貧困化や子育ての大変さが全く見えない自民党議員がまだ多いので、まず政治家の意識の次元をあげようとしているのではないかなという読み解きができる状況です。 減点法で岸田政権へのダメ出

  • commentatorHeader
    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2023年1月23日16時18分 投稿
    【視点】

    この種のキラーワードは、簡単に変えない方がいいと思います。スローガン先行の政治は内実が伴わないと大きな批判を浴びがちですが、逆に批判を浴びやすいがゆえに、政策を推進するテコにもなりえます。 このワンフレーズですら貫徹できないということ