ベストセラー小説「神様のカルテ」で作家デビューした夏川草介さんは、病院に勤務する内科医でもあります。コロナ禍の臨床現場に立ち、その体験から2作品を発表しました。医師であり、作家でもあることは、どんな意味を持つのか。夏川さんのインタビュー〈上〉で聞きました。
――夏川さんは医師と作家の「二刀流」をこなしてらっしゃいますね。
「私自身、二刀流というイメージを持っていないのです。作家という認識もあまりなくて。基本的に医師だと考えています」
――ではなぜ、作家として物を書く作業を?
「私にとっては、医師としてぶつかっている問題を考え直し、整理する作業だと考えているんです」
コロナの臨床現場で悩みながら書いた「臨床の砦」
――問題を整理する作業、ですか。
「はい。2020年のコロナ…