息子はミャンマー国軍に殺された 母は教師を辞め「不服従」続ける

ミャンマーはいま

福山亜希
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 ミャンマー国軍のクーデターから2月1日で2年。息子を国軍に殺された母親(54)は、教師の仕事をなげうって辺境地で暮らし続ける。それが、国軍に抵抗した息子の遺志を継ぐことになると信じるからだ。

 銃撃されて仰向けに倒れた男性が、動かなくなった。ひとりの兵士が警備用の盾を顔にかぶせると、別の兵士が上から思いっきり踏みつけた――。

 SNSで拡散した動画を見た母親は、息子ティーハティントンさん(当時26)の死を確認した。外科医だった息子は2021年3月27日、第2の都市マンダレーで開かれたデモに参加していた。

 遺体も戻って来ない。母親は国軍に抵抗の意思を示すため、教師の仕事を自ら辞した。「不服従運動」と呼ばれるものだ。

 収入は途絶え、支援してくれる人たちの家を転々とした。今いるのは、自宅からかなり遠い場所。国軍に反発して武装した市民と、国軍との戦闘が多発している地域だ。

 兵士たちが巡回してくると家を飛び出し、近くの森へ逃げ込む。足場の悪い沼地を泥だらけになって進む日もあった。それでも、不安定なこの生活を今後も続けるという。

 「息子の死を確認した瞬間から、強く生きようと決意した。私に夢はない。ただ、この国にいつか平和が訪れて欲しいと願うだけです」(福山亜希)

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