売春婦にたかる悪徳警官 景気悪化するミャンマー、逃げ遅れたら暴力

ミャンマーはいま

福山亜希
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 国軍のクーデターから2月1日で2年となるミャンマーで、景気の悪化から売春する女性が増えている。彼女らを脅し、金を巻き上げようとする「悪徳警官」も少なくない。

 最大都市ヤンゴンの女性(38)は、午前中から大通りに立って客を待つ。夫は亡くなり、子供は4人。日が落ちるまで客を待つ日々を送る。

 近くの警察署の覆面パトカー3台のナンバーは覚えた。遠目に覆面パトカーを見つけると、小道に逃げ込んで隠れる。

 「覆面パトカーの巡回日を教える」と言って、金を要求してくる警官もいる。要求額は1万~1万5千チャット(約620~930円)。安心して仕事がしたい一心で応じたら、警官は毎週のように金を徴収しに来るようになった。

 それでも時々、抜き打ち的に覆面パトカーはやってきて、逃げ遅れた女性たちを殴る。あくどい手口に気付きながらも、女性は警官に金を払い続ける。「警察を怖がってばかりいられない。この仕事でしか子供を養えないから……」

 働く場はクーデター後、失われた。国際労働機関(ILO)の推計によると、2022年上半期の就業者数は約1930万人。21年の1860万人に比べると回復傾向にあるが、クーデター前の20年に比べ、110万人少ない。

 ミャンマーの支援団体「売春婦生活ネットワーク」のニンニンユー会長によると、15年時点で国内に約6万6千人いたとされる売春婦の数は、クーデター後さらに増えたという。(福山亜希)

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