国軍がクーデターを起こしてから2月1日で2年を迎えるミャンマー。現地の政治や経済に詳しい中西嘉宏・京都大准教授と工藤年博・政策研究大学院大教授は共に、国軍を中心とした統治が今後しばらく続くと予測しています。
中西嘉宏・京都大准教授に聞く
ミャンマー国軍がクーデターを起こしてから2年が経ちます。現地の政治や経済に詳しい中西嘉宏・京都大准教授は、国軍を中心とした統治が今後しばらく続くと予測しています。
――クーデターから2年が経つ現状をどうみていますか。
2011年の民政移管後に進んだ民主化や市場経済化などの改革が頓挫した現状が、はっきりと見えてきました。政府は弱体化し、国際社会でも孤立気味で、政治も経済も泥沼の状態です。クーデターはミャンマーの歴史や社会の悪い意味での大きな転換点となってしまいました。
抵抗活動は国際社会に支援を訴えながら、同時に武装闘争に持ち込み、消耗戦となっています。平和的なデモをしていた市民が弾圧され、抵抗せざるを得ない状況に追い込まれた結果でもあります。抵抗活動には過激な集団も参加していて、彼らは国軍の協力者とみなした民間人を襲撃するなど行き過ぎた行為にも及んでいます。国軍も含め、誰も望まない状況になったと言えるでしょう。
――国軍が事態の改善に向けて動くことはあるのでしょうか。
国軍としては、現状の混乱は全て自らに抵抗する民主派などの責任であって、自分たちの責任ではないと考えています。軍人個人のレベルでは、現状が国にとって望ましくないことは肌感覚として分かっているでしょうが、軍は誤りを認めることをしてきた組織ではありません。方向転換はできないと思います。
経済的な停滞や治安の悪化は、軍にとって政治に比べると重要度は下がります。市民生活が困窮し、治安も悪化し、地方では武力衝突が起きていますが、それでも総選挙の準備を進めているという、無理のある計画を強引に進めようとしています。
混乱が内側に かつての軍政時代とは違う
――かつての軍政時代でも弾圧がありました。当時と比べ、どのような相違点がありますか。
1990年代や2000年代…
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