「何をしたいか分からない」からの成長 東邦の青年監督、初の選抜へ

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編集委員・稲崎航一
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 受け継いだ重圧を少し和らげてくれるかのように、春の吉報が届いた。

 東邦(愛知)の山田祐輔監督(32)は、今春の第95回選抜高校野球大会で、監督として初めて甲子園の土を踏む。

 就任3年目。2019年の第91回選抜大会を制した翌年、森田泰弘前監督(63)から受け継いだ。

 自身も東邦の卒業生だ。高校時代は主将、捕手として08年夏の第90回全国選手権大会に出場し、1回戦で先頭打者本塁打を放った。

 立教大を経て大手企業に就職したが、野球への思いは断ちがたかった。3年働いた後、誘われてコーチとして母校に戻った。

 森田前監督の下、コーチとして選抜優勝を経験した。

 監督就任当時、29歳。

 常に心にあったのは「東邦は強くあらねばいけない」という思いだった。

 同時に不安も感じていた。

 「世間体を気にする、じゃないけど、東邦の監督として、こういう采配をしたらどう思われるかな」

 練習でも試合でも、何となく森田前監督のまねをしていた。

 そんなとき、ある3年生の選手に言われた言葉が忘れられない。

 「監督が何を考えているのか…

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2023年1月27日18時27分 投稿
    【視点】

    ■対話の力 今回のセンバツ、2校の甲子園優勝校が、新しい監督の下で出ます。 東邦(愛知)と履正社(大阪)。甲子園常連校とはいえ、優勝校を受け継いだ重圧や難しさは、いかばかりか。 両校に足を運び、お話をうかがいました。 東邦の山田

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