昨年、サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で16強入りした日本代表。選手の大半がハイレベルな欧州リーグを経験していたことが躍進の要因の一つとされた。日本が強豪国の仲間入りをするための次のステップは、指導者の欧州進出と言われる。高い壁がそびえるが、乗り越えようとする動きもある。
「欧州クラブで、ハイレベルな、多様な国籍の選手に日常的にトレーニングを課し、試合で指揮を執る経験は、指導者をレベルアップさせる。それは大事なことだ」。日本協会の元技術委員長でJ2大宮フットボール本部長の原博実さんは言う。
原さんによると、30年以上前に西ドイツで語学を学び、現地で指導者資格をとった鈴木良平氏が、西ドイツ1部アルミニア・ビーレフェルトのヘッドコーチを務めたことがある。ただ、日本でキャリアを積んだ指導者が欧州の1部リーグで監督を務めた例は聞いたことがないという。日本代表をW杯16強に導いた岡田武史さん、西野朗さんのような指導者でも実現できない、構造的な壁があった。
「アジアと欧州で指導者資格の互換性がないことが一番のハードルだ。欧州の資格があれば、日本での指揮は認められるのだが」と原さん。
欧州サッカー連盟(UEFA)加盟国のトップチームで監督を務めるには、UEFAが発行する「UEFAプロライセンス」が必要だ。日本の最高位、S級コーチライセンスを所持していても原則的に欧州での指導は認められない。UEFAプロ取得には、欧州のトップチームのコーチやユース監督など現場で1年以上の指導経験が条件になる。
また、原さんは「日本人指導者を受け入れるために通訳をいれるクラブはない」といい、語学のハードルも高い。
そんな現状に風穴を開けよう…
- 【視点】
私の娘はまさにUEFAプロライセンス取得を目指し来月オランダに旅立ちます。オランダで日系企業での職とビザを得て彼の地で生活し、休日やフレックスタイム勤務の空き時間に指導を手伝わせてもらい、語学学校に通うそうです。人を知り、サッカーを知り、己