賃上げ率、上積みどこまで 「春闘の『し』の字も聞かない」働き手も
歴史的な物価高の中で、今年の春闘が幕を開けた。労使とも例年になく賃上げに積極的だが、特に中小企業は原材料費の高騰で経営を圧迫されており、賃上げ率がどこまで上積みされるかは見通せない。非正規労働者など春闘に無縁の働き手も増えている。
外から来た「黒船」
「外からきた黒船のようなものでも、それを転機に日本を変えていかなければいけない」
経団連の十倉雅和会長は23日、連合会長との会談後、記者団にそう語った。物価高騰を「黒船」にたとえ、賃上げを進めることで「日本社会に染みついたデフレマインドを打ち破り、賃金と物価の好循環を実現する好機だ」という。
今年は使用者側も賃上げに積極的で、サントリーホールディングスが6%の賃上げをめざすなど、大企業が春闘に先行して賃上げを表明する動きも広がる。
労働組合側からは、強気の賃上げ要求が相次ぐ。
関東地方の自動車部品メーカーの労組は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の要求を昨年から月額3千円増やし、9千円とする方向だ。加盟する製造業の産業別組織(産別)JAMの方針に合わせる。労組の幹部は「物価高で、組合員からはベアがとれるだろうとの期待も高い。覚悟を持って望む」と話す。
会社は自動運転など新技術へ…
- 【視点】
労働組合組織率は、企業規模で大きな差がある。全体では16.5%だが、従業員1000人以上の民営企業では39. 6%、100~999人規模では10 . 5%、99人以下では0 . 8%だ(2022年労働組合基礎調査)。 また日本は労働協
- 【視点】
記事で紹介されている自動車部品の業界は、下請け企業に対して不当に低い代金しか払わない「買いたたき」が多いとして、公正取引委員会が重点的な調査対象にしている業種の一つです。 昨年末には、下請け企業の原材料費が増えたのに取引価格に反映してい