ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、1年近い月日が経とうとしている。戦火の下で、ウクライナの市井の人々はどんな思いを抱きながら生きてきたのか。親ロシア派が2014年以降、占拠している東部の主要都市ドネツク出身で、22年2月の全面侵攻後、逃れてきた市民に話を聞いた。
キーウ 学生 オレクサンドラ・ボフジアジさん(16)
侵攻後の2022年8月、東部ドネツクから母といっしょにキーウに来ました。学校の11学年(日本の高校2年に相当)に通っています。今の私の心配は、ドネツクに残った父のことに尽きます。父は病気で動けない2人の祖母を世話するため、ドネツクを離れることができません。
ドネツクは14年からロシアに占領されていますが、22年2月からの侵攻で、状況はさらにひどくなりました。男性は通りを歩くだけで連行され、戦場に送られます。父は1カ月以上アパートから出られませんでした。アパートで水が出るのは週に2、3回だけ。街にロシア兵があふれ、武器を持ったまま酔っ払っている人もいます。
テレビはプロパガンダばかりで、ドネツクの住民の8割はもう「ロシア人」になったと思います。2人の祖母もテレビのニュースを信じているので私は話ができなくなりましたが、両親が取りなしてくれていました。キーウに来て本当にうれしいのは、思っていることを話せることです。
もともと、姉夫婦が長くキー…

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