NYタイムズエディターが考える政治報道、記者は「番犬」 論座から

編集委員 「論座」副編集長・吉岡桂子
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 「為政者と対峙(たいじ)するジャーナリズムは憲法が求める役割 鋭い追及こそが政治記者へのリスペクトをもたらす」。ニューヨーク・タイムズの政治エディター、デイビッド・ハルブフィンガーさんのメッセージです。論座は16~20日にかけて「月刊Journalism1月号」(朝日新聞社発行)の特集「政治報道は変わったか」から、このインタビューを含む6本の記事をご紹介しています。

 ハルブフィンガーさんがジャーナリズムの世界に入ったのは「番犬(watchdog)としての監視」が重要と考えたから。記者が取材源と親しくなり過ぎてへつらうリスクを指摘し、為政者に会見で執拗(しつよう)に問いを重ねる「根性」がないなら「この仕事はやらないほうがいい」。米国の民主主義への脅威が高まっているからこそ、番犬の役割もより重要になっていると指摘します。

 政治報道は政治部報道に限りません。私は政治部に所属したことはありませんが、和歌山支局や経済官庁を担当したり、北京や東京で日中関係などを取材したりしながら、政治に関わる報道に携わってきました。このインタビューは、メディア自らが持つ権力性への自覚を含め、全ての記者に覚悟を問うています。

 日本の新聞やテレビで政治取材に長く取り組んできた記者たちの経験に基づく提言の寄稿と、ぜひあわせて読んでみて下さい。「政治報道」の現在地から、日本の社会のありようも浮き彫りになります。

 民主主義という「家」は番犬だけでは守れません。私たちは、いったいどのような家を築き、どう暮らしたいのか。今春の統一地方選を前に、この特集がともに考えるきっかけになればうれしいです。

 上記の論考はこちらから(https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2023011100004.html別ウインドウで開きます)。ほかにも、「世界から取り残されないために 多様な属性の記者で取材を」(https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2023011200002.html別ウインドウで開きます)など、関連した論考を公開しています。

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