「異次元」よりも「当たり前」の少子化対策を 首相演説に感じた矛盾

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聞き手・高橋杏璃
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 岸田文雄首相は23日に始まった通常国会冒頭の施政方針演説で、「従来とは次元の異なる少子化対策を実現したい」と訴えました。首相の言葉は、実際にこどもを育てる親の心にどう響いたのでしょうか。共働きで年収は2千万円弱、でも4人を子育て中で余裕のある暮らしにはほど遠いという関西地方の女性(35)は、焦点になっている児童手当の所得制限は「頑張ると損をする仕組み」と感じてきました。政府の子育て政策に憤りを感じてきたという女性に、受け止めを聞きました。

 ――岸田首相はこども・子育て政策を「最重要政策」と位置づけ、「安心してこどもを産み、育てられる社会を創る。全ての世代、国民皆にかかわる、この課題に、共に取り組んでいこうではありませんか」と演説で呼びかけました。どう感じましたか?

どこまで本気?

 本気度が伝わってこない印象です。私たちはこれまで、子育て支援の拡充を求めてSNSで声を上げ、政府や自民党にも意見を届けてきました。

 たとえば、中学生までの子どもがいる世帯が月1万~1万5千円を受け取れる児童手当について「所得制限」の撤廃を求めましたが、いまだに実現していません。

 首相は「何よりも優先されるべきは、当事者の声」とも言いました。でも、私たちの声を聞いてくれる感じがしないのです。

 ――演説で評価する点はありましたか。

 こども・子育て政策への対応を「待ったなしの先送りの許されない課題」と言ってくれたのは、その通りだと思いました。

 ただ、本当に最重要だと考えているのか疑問です。

 ――どうして、そう考えるのですか。

 演説では、防衛費の不足分に…

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