教会に来なくていい、無宗教でいい 神父の言葉に慈恵病院長は涙した
堀越理菜
身元を明かせない母と子のための「こうのとりのゆりかご」や「内密出産」で知られる慈恵病院(熊本市)の蓮田健院長(56)にとって、キリスト教は縁深く、同時に悩ましい存在でした。そんな蓮田さんは、たまたまテレビで見たある神父の言葉に救われたといいます。
2015年夏、当直明けの日曜日の朝だった。熊本市の慈恵病院で、当時49歳だった蓮田健さんは朝食を取っていた。何げなくつけていたテレビに、NHKのEテレ「こころの時代」が流れていた。
大阪・西成でホームレス支援をしている本田哲郎神父が「小さくされた者の側に神は立つ」と語っていた。「互いを大切にしあいなさい。これひとつ守れていたら、教会に来なくてもいい。無宗教でもいい」とも説いていたと記憶している。
その言葉に食事の手が止まり、涙があふれ出た。
蓮田さんの人生は、キリスト…