「ただいまから、2次救急の発熱症状者のみ、受け入れ不能となりました」
18日午前、名古屋駅近くにある名古屋市消防局本部救急隊の詰め所に、放送が鳴り響く。市内のある病院が、一部の搬送者の受け入れを停止したことを知らせるものだった。
救急隊員「病院の受け入れ停止が増えている」
隊員の男性は、「新型コロナウイルス感染拡大の中で、病院の受け入れ制限や受け入れ停止が明らかに増えている。病院も手いっぱいだなと感じている」と話す。
医療機関から少なくとも3回受け入れを断られ、30分以上現場に滞在せざるを得ない事例を「救急搬送困難事案」という。この隊でも、年末ごろから搬送困難事案が出るようになった。重篤な症状の患者の搬送先の調整は市役所にある指令センターが担うが、それ以外の場合は、それぞれの救急隊で受け入れ病院を探す。
最近は受け入れ先を探すため、5回ほど電話をかけることもしばしば。1件当たりの対応時間も、以前は1時間以内に収まっていたが、今では2時間ほどに及ぶこともある。
搬送時間の増加で、出動以外の業務にかける時間の確保にも影響が出ている。休憩や仮眠の時間を削り、報告書の作成や事例の検証などにかける時間を捻出することがあるという。
名古屋市の昨年の救急出動件数は過去最多
市消防局によると、昨年1年の救急出動件数は14万6千件を超えて過去最多となった。新型コロナウイルスの感染拡大によるものもあったが、「ウィズコロナ」が進み、日常生活が戻りつつあるなかで、通常の搬送要請が増えている可能性が考えられるという。
「搬送先が見つからないことが多く、10件、20件断られてうちに来ることもある」。名古屋大学医学部付属病院の救急科長も危機感を募らせています。コロナの第8波にくわえ、日常が戻ってきたことで搬送が増えつづける救急現場。記事後半では、医療現場から見える危機感をお伝えします
名古屋市の搬送困難事案は、昨年11月下旬ごろから増え始め、今年1月9~15日の1週間では、過去最多の316件にのぼった。今月10日には、急病で救急搬送を要請したが、受け入れを32回断られ、227分間、現場で待機を余儀なくされた男性もいたという。
局は2月に予定していたSN…