#MeToo以降の積み重ね 山内マリコが観た「SHE SAID」

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聞き手・佐藤美鈴
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 ハリウッドの著名プロデューサーの性暴力事件を調査報道で暴いた2人の女性記者を描いた映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」が公開されている。記事は、性被害者が声を上げ、世界的な連帯が広がる「#MeToo」運動につながった。シスターフッドをテーマにした作品を手がけ、日本映画界の性暴力問題に映画原作者として連名で声明を発表した、作家の山内マリコさん。「SHE SAID」について「#MeToo以降の積み重ねの上に生まれた良質な作品。今後こういったテーマを扱う際のガイドラインにもなる」と語る。

 ――公開初日に映画館に見に行ったそうですね。

 映画に対する一番の応援は、初日に一般料金で見ること。そう思って映画館に行きました。ここ数年、特に#MeToo以降、女性の監督や女性の作り手が関わる、フェミニズムをテーマにした映画が増えています。ただ、真面目な題材を扱うことが多く、映画としての面白みが弱くなりがちな傾向もあって、ちょっと心配もしていました。「良い作品になっていてほしい」と思いながら見に行ったら、すごくクオリティーの高い映画になっていて、身内のようにほっとしました。

 「大統領の陰謀」「スポットライト 世紀のスクープ」とも比較されると思いますが、ジャーナリズム映画としても出色だと思います。子育てしながら調査報道に関わる女性記者の仕事ぶりを見ているうちにどんどん没入して、気が付いたら食い入るように夢中になっていました。被害に遭った女性たちが時間をかけてほんのちょっとだけでも立ち直っていく瞬間と、報道がついに出るという瞬間がリンクする。どんどん感情的な頂点に向かっていく流れは映画的で、ワクワクするものがありました。

 ハリウッドは何でも映画にしてきたけど、身内の恥部ともいえるスキャンダルをエンタメ作品にして世界で公開するというのはすごいこと。埃(ほこり)をたたいて膿(うみ)を出し切り、それによって前進する。日本でも社会的な問題をテーマにした作品がどんどん出てくるといいな、と思います。

描かれなかったシーン 感じた「矜持」

 ――今作で注目した点はありますか。

 今までと一番違うと思ったの…

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