PB試算目立つ楽観 「現実離れ」の経済成長、財政健全化の行方は?
北川慧一
内閣府が24日に公表した国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の新たな試算は、黒字化をめざす2025年度の赤字額が前回試算より1兆円増え、財政がより悪化する見通しとなった。前提に置く経済成長率の見通しが現実離れするなど見積もりの甘さもぬぐえず、楽観的な側面が目立つ。
岸田文雄首相は首相官邸で開かれたこの日の経済財政諮問会議で「市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないよう、経済再生と財政健全化の両立に努めたい」と述べた。
ただ、首相自身が「実現することは容易ではない」と話すように財政健全化への壁は高い。24年度以降の国内総生産(GDP)が、物価変動を除いた実質で約2%、名目で3%超増えることを前提にする「高成長シナリオ」になれば、26年度に黒字化を達成できると見込む。しかし、名目成長率が3%を超えたのは過去20年間で1度だけだ。
また試算では、毎年度編成し…

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