朝、目覚めた瞬間に体の異変を感じた。高熱で体が重く、立ち上がることすらできない。
体温を計ると、40度近い。新型コロナウイルスのPCR検査の結果は、「陽性」だった。
2022年7月15日。福岡市の飯田泰成さん(18)は、この日行われる全国高校野球選手権福岡大会の4回戦に、エースとしてマウンドに立つはずだった。
まさか、試合当日に。部内で感染者が出たことは一度もなかったのに……。
「チームに申し訳ない。自分が復帰するまで、勝ち進んでくれ」
高熱の中、そう祈るしかなかった。
入学直前に始まったコロナ禍
甲子園を目指して、白球を追ってきた。
野球を始めたのは小学1年生の時。4年生で近所の強豪のソフトボールチームに入り、中学から投手になった。
左腕の上手投げ。中学3年のときには福岡選抜にも選ばれ、台湾遠征も経験した。
高校は、県内有数の進学校・春日高校に進んだ。勉強も野球も頑張って、甲子園のマウンドに立つ。充実した3年間を描いていた。
それが、中学校の卒業を控えてコロナ禍が始まった。
高校の入学式はなかった。授業は最初からオンライン。クラスメートとの顔合わせもできなかった。
高校のグラウンドに足を踏み…

新型コロナウイルス最新情報
最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]