出発日に引退聞いた 組むはずだった16歳が語る国枝への敬意と本音
メルボルン=堤之剛
(24日 テニス全豪オープン車いす部門男子シングルス1回戦 小田凱人2―0ケーシー・ラッツラフ)
あこがれのあの選手は、この舞台にいない。
少し胸に残る喪失感。
そんな心境をみじんも感じさせないような全豪オープンデビューだった。
テニスの4大大会全豪車いす部門男子シングルス1回戦に期待の16歳が24日、コートに入った。
2022年にプロに転向した愛知県一宮市出身の小田凱人(ときと)。
世界ランキング3位のサウスポーは、工夫したサーブに、力のあるショットを繰り出す。
雨の中断もあった第1セット。1ゲームしか落とさずに同15位のケーシー・ラッツラフ(米)を圧倒した。
第2セットこそ競り合ったが、1時間23分で決着をつけ、2回戦に勝ち上がった。
「第2セット、どうしても少し気が抜けてしまう部分もあった。そこは次の試合に向けて修正していかないといけない」
試合後の記者会見では鋭いまなざしで反省が口をついた。
この全豪のダブルスは、ある先輩と組んで出場する予定だった。
車いすテニス男子シングルス4大大会28度、パラリンピック3度優勝の国枝慎吾。
小田が22年秋ごろにペアを願い出た。結成する見込みだった。
ところが、出発日。
国枝から告げられた…