戦禍が変えた穏やかな画風、日本でとり戻した 故郷に重ねた光の世界

有料記事ウクライナ情勢

田中章博
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 侵攻は突然だった。

 風景画家のニナ・ブチェバさん(42)は、ウクライナ南東部、アゾフ海に面した街に住んでいた。昨年2月下旬に始まったロシア軍による侵攻で、最初に制圧された一帯にあった。

 これまでは画家として、アゾフ海や桜の木など美しい自然を描いていた。日本文化に関心があり、墨絵や書道にも挑戦していた。

 制圧下の街は、あちこちにロシア兵がいて、家に閉じこもるしかなかった。燃料や食料の蓄えはなく、流通も途絶えた。値が高くてもロシア軍から小麦や缶詰を買ってしのいだ。

 それでも、創作は続けた。「芸術家だから絵を描かずにはいられない」

 制圧下に置かれた3月、モノトーンで描いたのはハトだ。隣に漢字で「平和」といくつも重ねた。

 南東部では4月、港湾都市マリウポリがロシア軍の猛攻を受けていた。先の見えない戦禍に、ニナさんの作品も変わっていく。

■ネガティブなものしか描けな…

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