ANAの現役CA、地方移住で「三方良し」 まちで企業で学校で

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鵜沼照都
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 「住みます芸人」ならぬ「住みますCA」をご存じだろうか。航空会社の客室乗務員(CA)として乗務を続ける傍ら、地方都市に住んで、地域の魅力を掘り起こして発信する役割を担っているCAたちだ。コロナ禍で運休・減便が続き、搭乗機会を失ったCAの救済策の一つとして2021年10月に誕生したがこの1年余り、あちこちに引っ張りだこ。評判も良好で「三方良し」の関係を築いている。

 「住みますCA」の正式名称は「ANA SHONAI BLUE Ambassador(ブルーアンバサダー=BA)」だ。肩書が示すように、航空大手・全日本空輸(ANA)のCAが日本海に面する山形県の庄内地方に移住し、同地方を構成する5市町(酒田市鶴岡市、庄内町、三川町遊佐町)の、いわゆる「親善大使」としてさまざまな活動をしている。

 メンバーは、切江沙也香さん(31)、西紅映さん(29)、佐藤菜々子さん(29)、坂本里帆さん(28)、九鬼江実さん(26)の5人からなるユニットだ。全員がひと月のうち半分は羽田空港を拠点に国内線のCAとして搭乗する一方、残りの半月は庄内地方で活動する。

 祭りやフェアなどの行事参加にはじまり、地元企業とのコラボによる商品開発、小中学校でのキャリア授業、ふるさと納税のアピール、ブログにツイッターインスタグラムといったSNSを駆使した観光スポットや旬の食べ物などの紹介、マナー講座、ラジオ番組のでのDJ……。虫よけ・日焼け防止などのために農作業時にかぶる「はんこたんな」を身につけて、「菜の花むすめ」に扮したこともあった。文字どおり引っ張りだこで、最近は、庄内地方を飛び越え、山形県内陸部へも活動範囲を広げている。

「ずっとお願いしたかったんです。ぜひ、うちの学校でと。BAのみなさんが、庄内で活躍しているのを知っていましたから」

 山形県立鶴岡中央高校(鶴岡市)の大野みどり教諭は、感慨深げに語る。1年生の総合学科「産業社会と人間」の授業では、地域で活躍している人材を外部講師として招いており、22年10月、BA4人に来てもらった。

 4人はCAの制服姿で登場。約90分の授業時間の間、役割を入れ替えながら、CAの業務内容や、会社で働くために必要なコミュニケーションやマナー、BAとしての活動状況などを説明した。

 授業を聞いていた別の教諭は、彼女たちを学校に呼びたかった理由をこう話した。

 「彼女たちは、ブログやSNSで庄内地方の魅力をたくさん発信している。何もないように思える地元の庄内にも、実はこんなにも魅力があるんだ、ということを教えてくれる貴重な存在なんです」

 同校の生徒たちの多くは卒業…

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