子育て支援で「0~18歳に月5千円給付」、浮かぶ東京都の独自路線
東京都が新年度から0~18歳の子どもに月5千円を支給する案を固めた。子育て支援を目的にした現金給付策は他にもあるが、比較してみると都の案は違いが際立っている。
先んじて動く自治体、支援「薄い」国
都に先んじて、昨年12月に現金給付案を示したのは兵庫県明石市。国の児童手当を「独自に拡充する」と泉房穂市長が表明し、「拡充は喫緊の課題だ。国を待つことなく率先してやっていく」と説明した。新年度予算案に計上する。
児童手当は、中学生までの子どもに1人あたり原則月1万~1万5千円が給付される。
対象は「所得制限」があり、例えば子どもが2人いる専業主婦家庭で、夫の年収が960万円以上の場合は5千円に減額され、1200万円以上になれば給付対象外になる。
明石市の「独自」部分は、中学卒業から18歳までの子に、所得制限なしで一律月5千円を給付することだ。
その理由を市の担当者は「高校生年代は相当お金がかかるが、国の支援は薄い。大学進学など『その後』への影響も大きい」と説明する。
文部科学省の学習費調査(2021年度)によると、高校3年間の教育費(学校外を含む)は公立校の生徒が平均約154万円、私立は約316万円という。
東京都千代田区は06年度から児童手当の対象外の子に月5千円を給付している。今は、16~18歳や高額所得世帯が対象だ。
児童手当法が児童を「18歳まで」と規定しており、公平性を重んじて独自に給付を始めたという。三重県桑名市も20日、新年度から同様の施策を始める考えを示した。
児童手当から外れた高校生などに給付する自治体と比べ、全ての18歳以下に支給する都の案は違いが際立つ。
都の担当者は一律給付の狙いについて「0歳から18歳まで継続的に支援することで子育て世帯の安心につなげる」と話す。
ある都幹部は「『東京都から少子化に歯止めをかける』というメッセージの意味もある」と説明する。
1261億円、都は「捻出難しくない」
また、国や都の調査によると都内でかかる教育費が全国平均より月約5千円高いとし、「その差を埋めるため」とも説明する。
所得制限を設けない点を小池…
- 【視点】
東京都や千代田区など、財政豊かな自治体では、国に先んじて所得制限なしで子育てへの現金給付を実施することが可能ということだ。 もちろん、財政力豊かな自治体に住んでいるかどうかで、子育てへの現金給付の額が減るのは、不合理なのど、国の児童手