富雄丸山古墳、埴輪でも新たな発見 隣の古墳、前方後円墳か

今井邦彦
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 国内最大の鉄剣と銅鏡が出土した、奈良市丸山1丁目の富雄丸山古墳(4世紀後半)。25日には前日からの寒波による雪が残る現地で、調査を担当した市埋蔵文化財調査センターの報道発表があった。隣接する富雄丸山2号墳、3号墳が一つの前方後円墳である可能性が高いことも報告された。28~29日には発掘調査現場が一般公開される。

 富雄丸山古墳は直径約109メートルと国内最大の円墳。北東方向に「造り出し」と呼ばれる突出部があり、鉄剣と銅鏡は、そこで新たに見つかった埋葬施設で出土した。長さ約7・4メートル、幅約3メートルの長方形の穴に、コウヤマキの丸太をくりぬいた全長5メートル前後の木棺を置き、粘土で覆った「粘土槨(かく)」と呼ばれる構造だ。

 銅鏡が副葬された古墳では、水に溶け出した銅の防腐効果で、木棺の一部が腐らずに残るケースが多い。同古墳の木棺はふたの大部分が朽ちていたが、上に盾形銅鏡が埋まっていた部分は元の色を残した木が残っていた。棺本体は約4メートル分が残っているとみられ、調査を担当した同センターの村瀬陸さんは「これほど保存状態がいい棺は見たことがない」と話す。

 木棺は盗掘されておらず、来年度以降の発掘調査で副葬品がみつかれば、被葬者像の解明にもつながりそうだ。

 また昨年出土した、塀を模した囲形埴輪(かこいがたはにわ)に囲まれた家形埴輪を復元した結果、中に2槽式の構造物があることがわかった。湧き水を使った祭祀(さいし)の施設とみられ、全国で約10例が見つかっている水の祭祀を再現した家形埴輪の中では最古になるという。家形埴輪の出土場所は、墳丘南東側の2段目斜面に設けられたテラス状の高まりだったことも判明。ミニチュア土器も出土していることから、何らかの祭祀のための空間があったとみられる。

 今回は、同古墳の北東に隣接する富雄丸山2号墳、同3号墳も発掘調査された。両古墳の間には区画の溝がなく、3号墳の埋葬施設も見つからなかった。両者はもともと一つで、全長40メートルほどの前方後円墳である可能性が高いという。2号墳の横穴式石室の形から、富雄丸山古墳より200年ほど後、6世紀後半の築造と推定される。

 富雄丸山古墳の発掘調査現場は、28日午後0時半~3時と29日午前10時~午後3時に一般公開される。同センター(0742・33・1821)は公共交通機関での来場を呼びかけている。今井邦彦

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