初の「しもつかれ博」開催 食文化を継承し国の無形民俗文化財めざす
栃木県の郷土料理「しもつかれ」を次世代につなぐ博覧会「しもつかれ博―探る“千年フード”―」が、初午(はつうま)の前日である2月4日、宇都宮市インターパーク6丁目の「ミナテラスとちぎ」で初めて開かれる。県教育委員会が主催。食文化の継承や振興をはかる事業の一環で、国の登録無形民俗文化財への登録をめざしている。
しもつかれは、初午につくって稲荷(いなり)神社などに供える県の伝統的な食文化だ。正月で残ったサケの頭や節分の残りの大豆なども使われるため、近年はSDGs(持続可能な開発目標)の視点から評価する意見が聞かれる。
その一方で、県教委は「地方の過疎化・生活様式の変化などによって食文化は急激に変容している」と分析。継承と振興を喫緊の課題としていた。
文化庁も2021年、文化財保護法を改正した。無形の民俗文化財などを対象に既存の指定制度を補完し、幅広く緩やかな保護措置がなされる登録制度を新設した。これを活用して食文化の保護を進める方針を打ち出した。
さらに文化財登録に向けた一歩となる、特色ある食文化の継承に取り組む地方公共団体などを支援する「『食文化ストーリー』創出・発信モデル事業」も創設。県は21、22年度と続けてこの事業に採択された。民俗や歴史などの分野の学識経験者による委員会を設置し、調査研究を続けてきた。
今回の「しもつかれ博」は、保護と継承のために、これまでの調査結果を発表する場となる。しもつかれはすでに文化庁が全国各地の食文化を認定する「100年フード」のひとつだが、県教委は「千年さかのぼる可能性がある」として、タイトルに「千年フード」とつけた。
パネルディスカッションでは各委員がこれまでの歴史などを紹介し、民間の料理研究家らが今後のしもつかれの可能性や未来を語り合う。しもつかれの調理実演や試食会もある。
パネルディスカッションの聴講は1部、2部各回先着60人。県教委の担当者は「郷土料理の素晴らしさを再発見する機会にしていただきたい」と話している。
このほか、オンラインサロングループ「しもつかれブランド会議」が主催するイベントもあり、しもつかれを使った飲食物を販売するブースや、しもつかれ和楽踊りなどのライブも予定されている。(津布楽洋一)
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