• アピタル

1割が「生命の危険を感じた」 訪問医療や介護の担い手を守るには

有料記事

仁村秀一 森下友貴
[PR]

 埼玉県ふじみ野市の民家で在宅医療を担う医師が殺害された「立てこもり」事件は、27日で発生から1年になる。医師を殺害したとされる男は起訴されたが、初公判は未定で、全容はいまだ不明だ。こうしたなか、在宅医療・介護の担い手が患者や利用者、家族からの暴力やハラスメントに苦しんでいる実態が浮き彫りになり、埼玉県などを中心に手探りで対策が進む。

 埼玉県が始めた取り組みの一つが、在宅医療や介護・障害福祉の担い手専用の「暴力・ハラスメント相談センター」の設置。昨年12月1日に開き、2カ月弱で20件以上の相談が寄せられた。介護の担い手が多く、「過度な要求を繰り返す」「暴言やセクハラがある」「対応が不適切だと激高された」などの内容だった。

 センターは、患者・利用者、家族との接し方のほか、市町村、警察への相談の方法やタイミングなどについてアドバイスしている。危険が及びそうな事案では相手とのやりとりを記録することを勧めており、同じ12月に、ボイスレコーダーなどを購入してもらうための補助制度も作った。緊急時に警備員に駆けつけてもらう、民間のサービスの導入費も補助の対象だ。

 これに加え、埼玉県は、看護師や介護職員が患者・利用者の家を複数で訪ねやすいよう、2人目以降のスタッフの報酬について10分の9を給付する施策も始めた。1月中に事業者らに通知を終える段取りだ。患者・利用者の暴力行為があれば、複数のスタッフを同行させ、診療・介護報酬を加算することは可能だが、本人や家族の同意が必要で、請求のハードルが高かった。

医師会と警察の連携、地元・ふじみ野市の試みも紹介します。

 埼玉県の背中を押したのは…

この記事は有料記事です。残り1397文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません