第19回医学部をやめ風俗店に ホストに月200万円つぎ込んだ女性の孤独

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田中紳顕
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 「ボトルもう1本入れようかな」

 照明を落とした店内で、シャンデリアの下に座った20代女性がつぶやくと、ホストの男性が満面の笑みで「いつもありがとうね」と応えた。

 その笑顔が見たかった。でも銀行口座の残高が頭をよぎる。今月は仕事頑張ったから大丈夫だよね――。不安をのみ込むように、受け取ったシャンパングラスを傾けた。

目標だった医学部に進学したが

 医者の両親に大切に育てられた一人娘。強く言われることはなかったが、幼い頃から、自分も医療の道に進むのだと漠然と思っていた。

 大学の志望は医学部に絞った。浪人生活を経て、2020年春に関東地方の大学の医学部に入学した。

 念願の一人暮らし。勉強にサークル活動に頑張ろう。その意気込みは、入学直前に始まったコロナ禍にくじかれた。

 入学式はなく授業は全てリモート。同級生と顔を合わせることもできなかった。一部の同級生はSNS上で友人同士になったようだったが乗り遅れてしまった。

 入学から半年後、一部の実習がリアルで実施されるようになった。友人は数人できたが、それでも顔を合わせるのは週1~2回。外出もしづらく、寂しさは変わらなかった。

 ひとりパソコンに向かって講義を受ける中で、勉強へのモチベーションは上がらなかった。同級生が専攻の希望などを語る一方で、自身は特にやりたいことが思い浮かばなかった。「本当に医者になりたいのかな」。そうした迷いも生まれた。

 希望にあふれた春だったのに、孤独に陥った女性はホストクラブに通うようになります。そして、人生が大きく変わっていきます。

 2年生への進級が決まった2…

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