岸田首相がキーウ訪問するには 紛争地の要人警護、狙われた事例も

有料記事ウクライナ情勢

聞き手・菊地直己
[PR]

 欧米各国の首脳や閣僚らがウクライナを訪問するなか、日本も岸田文雄首相が2月中に首都キーウを訪れることを検討していると報じられました。米ニューヨークでウクライナのゼレンスキー大統領と会談する案も浮上しているとされますが、ロシアによる侵攻でミサイル攻撃や砲撃が続くウクライナを訪問するとすれば、どんなリスクが伴うのでしょうか。危機管理やテロ対策が専門の福田充・日大教授に話を聞きました。

 ――各国の要人がウクライナを訪問する意義とは何でしょうか。

 欧米を中心に経済支援や兵器の供与が相次いでいます。ウクライナへの国際支援が拡大したのは、ゼレンスキー大統領が国際連合や各国議会でオンライン演説を繰り返した効果もあったでしょうが、やはり首脳や要人のウクライナ訪問も大きかった。英国のジョンソン元首相が侵攻から間もない時期に電撃訪問したのを皮切りに、フランスドイツイタリアの首脳もそろってキーウを訪問しています。現地を訪れた首脳らのメッセージが映像として世界に発信されたことも、国際協調が強まった原因でしょう。

 ――岸田首相はまだ訪問していません。

 主要7カ国(G7)の中で首脳が訪れていないのは日本と米国です。米国は、バイデン大統領は訪れていませんが、ブリンケン国務長官やペロシ前下院議長がキーウでゼレンスキー氏と会談しています。日本の国際社会でのプレゼンスを考えれば、首相による直接のメッセージは重要です。経済支援、人道支援をするにしても、ウクライナでゼレンスキー氏と対面することの外交的意義は大きいと考えます。

 ――日本では首相が紛争地を訪れること自体が異例ではないでしょうか。

 日本政府はこれまで、戦争の当事国に対して戦闘継続中に積極的に支援することを避けてきました。また当然、戦争や紛争当事国の訪問には危険が伴います。キーウも巡航ミサイルの攻撃や、空襲警報が日常的にあります。岸田首相の訪問中にそうした事態が起こらないとは限りませんが、すでに多くの国の首脳や要人が訪問しているわけで、大事なことは安全をどう確保し、リスクを低減させるかに尽きます。

国内とはまったく異なる条件

 ――平時と違い、紛争地の要人警護にはどんな難しさが伴うのでしょうか。

 様々な危険を想定して対処す…

この記事は有料記事です。残り1213文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

ウクライナ情勢 最新ニュース

ウクライナ情勢 最新ニュース

ロシアのウクライナ侵攻に関する最新のニュース、国際社会の動向、経済への影響などを、わかりやすくお伝えします。[もっと見る]