米大統領の機密文書持ち出し、なぜ相次ぎ発覚? 管理の実態と行方は
バイデン米大統領の自宅などから副大統領時代に持ち出したとされる「機密文書」が相次いで見つかりました。トランプ前大統領も大量の機密文書を持ち帰ったとされ、新旧2人の大統領が司法の捜査対象となる異例の事態になっています。そもそも、機密文書はどのように管理されてきたのか。今後の捜査の行方や政局への影響はどうなのか。米国政治に詳しい早稲田大学の中林美恵子教授に聞きました。
――機密文書とはどのようなものでしょうか。
その情報が開示された場合、国の安全保障に損害をもたらすような軍事や核、大量破壊兵器、外国政府などに関する文書です。大統領やその命を受けた副大統領、行政機関の長や上級職員らが、そうした情報を「機密」指定する権限を持っています。損害の見込みが大きい順に「トップシークレット(最高機密)」、「シークレット(極秘)」、「コンフィデンシャル(秘)」の3段階に分類されています。
――どのように管理されているのでしょうか。
機密文書は特に厳格な管理が求められ、文書を許可なく保持した場合、スパイ防止法違反に問われる可能性があります。また、大統領記録法では、大統領と副大統領は退任する際、機密の指定を問わず、公務に関する文書を国立公文書記録管理局に引き渡すことが義務づけられています。しかし、トランプ氏もバイデン氏も文書を自宅などに持ち帰ったままにしていたのです。ただ、返却すべき記録の「提出期限」について、実は同法に記述がありません。今後、責任が追及される中で鍵になる可能性があります。
持ち出しを防ぐには?
――トランプ氏は、すでに機密指定を解除していたと反論しています。どのような人が解除の権限を持っているのでしょうか。
基本的に、機密指定する権限…
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