日本の経済成長率見通し1.8% IMFが前回予測を上方修正
国際通貨基金(IMF)は26日、最新の日本の経済見通しを発表し、2023年の成長率を1・8%とした。昨年10月の前回予測1・6%から引き上げる一方、世界経済の急な減速といった下振れリスクにも言及した。
IMFは同日に出した声明で、日本経済の動向をコロナ禍とウクライナ危機の影響からの「回復の最中」と評価。抑制されてきた需要の回復や水際対策の緩和に支えられ、短期的には回復が続くと分析しつつ、更なる地政学的緊張の高まり▽世界経済の急減速▽供給制約の継続といった海外要因のリスクを挙げた。
金融政策では、「緩和的な金融政策スタンスが引き続き適切」としながら、「生産性と実質賃金を改善する政策」などで支える必要性を強調した。日本銀行が昨年12月に金融緩和策を修正したことに触れ、「物価に関する双方向のリスクを踏まえると、長期金利の一層の柔軟化は、将来の急激な金融政策の変更を回避するのに役立つだろう」とした。
物価上昇率は23年の第1四半期(1~3月)がピークで、24年末までに2%を下回る水準に徐々に低下すると予測した。ギータ・ゴピナート筆頭副専務理事は会見で「日本のインフレはいま転換点に来ている」と指摘。「(日銀が目標とする)2%のインフレが続くためには、賃金がもっと大幅に伸びないといけない。不確実性があるなかでの慎重な政策ステップが求められる」と話した。(松山尚幹)
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