ウクライナに侵攻したロシアは、戦場での軍事行動だけでなく、ソーシャルメディアを使った偽情報の流布など、情報空間での宣伝工作にも力を入れてきた。この情報戦に対抗し、ウクライナを支援する象徴として、日本犬の「シバイヌ」が注目を集めている。
シバイヌ画像を介してインターネット上で緩くつながり、ロシアの偽情報にかみつく「戦果」をあげてきた草の根集団「NAFO」。ウクライナ侵攻を含め、国際情勢を動かす「情報戦」の一端を担う存在です。その正体は何なのか、2回にわけて報告します。
主にツイッター上で活動し、ロシアと対峙(たいじ)する欧米各国の高官や専門家らも関心を寄せている親ウクライナ集団が「NAFO」だ。「ナホ」「ネイフォー」といった発音で呼ばれる。そのメンバーだという目印が、シバイヌの顔と人の体を組み合わせたプロフィル画像を使うことだ。
活動の最大の特徴は、ロシアが拡散を試みる偽情報に対し、愛敬のあるシバイヌ顔の画像やくだらない投稿を繰り出しながら反論することにある。
有名な「戦果」がある。22年6月、在ウィーン国際機関代表部で働くロシアの外交官が、ロシアの侵攻を正当化し、ウクライナ側に非があるかのような主張をツイッター上で繰り広げていた。これに対し、あるNAFOのメンバーが、外交官の主張はへりくつだと指摘した。すると、外交官はこれを真正面から受け止め、「くだらないことを言い出したのはあなただ。私ではない」と返信した。
ロシアの外交官が、シバイヌ顔の投稿に対してむきになって反論したことは、ほかのNAFOのメンバーらの格好の攻撃材料になった。パロディー画像を交えるなどしてからかう投稿が殺到した。嘲笑の対象となったロシア外交官のセリフはTシャツやステッカーに印刷され、利益をウクライナに寄付している通販サイトで販売されるに至った。
NAFOには匿名のメンバーが多いが、出身国を明かしている人もおり、東欧などの欧米諸国が活動の中心とみられる。一人のメンバーが、取材に応じてくれることになった。
シバイヌの奥の素顔 ピョートルさんがNAFOに加わった理由は
ポーランドの自営業ピョート…

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