人道支援先のアフガニスタンで殺害された医師の中村哲さん(享年73)の慰霊のため、NGO「ペシャワール会」(福岡市)のメンバーが今冬、現地を訪ねた。用水路の完成によって水を得た地域では、中村さんの願いでもあった平穏な暮らしを人々が取り戻しつつあったという。メンバーは中村さんの志を継ぎ、「これからも平和のために」と誓った。
中村さんは2019年12月4日、アフガン東部ジャララバード市内で武装集団に襲われた。それから3年が経ち、治安が改善しつつあるとして、ペシャワール会の村上優会長(73)や技術者ら8人が昨年12月から1月にかけて現地に入った。
一行は、パキスタンのペシャワルやアフガン東部を訪れ、中村さんが1984年から約35年かけてハンセン病患者や難民らの支援にあたった足跡をたどり、中村さんの死後も継続させている用水路や農業などの事業現場を視察した。
担い手となる現地NGO「PMS」(平和医療団・日本)とはメールやオンライン会議などでやりとりしてきたが、新たに用水路をつくる計画地や緑を取り戻した農地の現状を確かめ、意見を交わした。
現地で事業を進めるには、長老たちの協力が不可欠という。今回、中村さんが信頼を築いてきた長老たちに村上会長が「中村医師は亡くなったけれど、事業は続けたい」と伝えると、アフガンの人々はこう応じたという。
「ドクター中村は亡くなって…