二つの土偶が付いた激レア縄文土器 見つけた元校長先生「びっくり」
福島県柳津町の資料館に長く眠っていた土器の破片が、縄文土器につく一対の土偶状の装飾だったことがわかった。土偶のような飾りが二つあるのは全国的にもほとんど出土例がないという。
柳津町教育委員会が1月16日に発表した。この土器片は、町内の池ノ尻遺跡から発掘された樽(たる)型深鉢土器の一部。今から約5千年前の縄文時代中期の中ごろに作られたとみられる。高さ約70センチ、つぼ口の直径約38センチ、最大径約60センチの大型土器のうち、最上部30センチ、全周3分の2ほどを、出土した土器片をつなぎ合わせて復元した。
最大の特徴は、つぼ口付近の二つの取っ手とみられる部分に、高さ17センチの土偶状の装飾がある点だ。土偶は、縄文時代に全国各地で作られた土人形。二つの土偶の顔は互いに内側を向き、目と口が彫り込んである。頭頂部には半時計回りの渦巻き文様が施されている。背中はブリッジ状で、肩から腕、指まで細かく表現され、手首にはブレスレット状の飾りも付いている。
町教委や県立博物館によると、土偶のような装飾が付いた縄文土器は、県内でも郡山市の妙音寺遺跡や須賀川市長沼の塚越遺跡、棚倉町の松並平遺跡などで出土しているが、土偶装飾が二つある形状はほとんど例がなく珍しい。大きさも、土偶装飾が付いた縄文土器としては国内最大級という。
また、土偶の渦巻き文様は、長野県茅野市の棚畑遺跡から出土した国宝土偶と共通性があり、長野県と南東北の間に文化的交流があったことを裏付ける史料としても価値が高いという。
土器の復元作業に携わった県立博物館の高橋満・専門学芸員は「土偶が二つも付いている土器はほぼ類例がなく、腕や指が表現されている造形も異例で、造形的にも素晴らしい。当時の精神文化を今に伝える貴重な発見だ」と話す。
土器片は2002年、同町の…