英米独が主力戦車の提供に踏み切りました。陸上自衛隊の戦車部隊で中隊長を務めた松村五郎元陸将は、高性能化した戦車の整備が課題になると指摘します。ウクライナの政権崩壊を狙うロシア軍の逆襲にも警戒が必要だと語ります。
――ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)諸国に、戦車の提供を求めてから実現まで数カ月かかりました。
英米独3カ国は戦車を提供することの利益と不利益を考えていたと思います。NATOへの戦線拡大を防ぐとともに、終戦交渉を巡る主導権や戦後の立ち位置などを考えていたでしょう。
今回の戦車の提供は、「失った土地を奪い返すまでは停戦交渉に応じない」というウクライナのゼレンスキー大統領の意思を変えられないというNATO諸国の判断があったと思います。特に、昨年12月のゼレンスキー氏の訪米で、ウクライナがやりたい作戦への支援要求の内容を明確にしたことが大きかったのでしょう。
ただ、戦車の提供は、NATOが懸念する戦争の拡大につながる危険性もはらんでいます。高性能の戦車になるほど、整備が大変です。NATO諸国が整備の支援まで踏み込む場合、ロシア軍が「NATOの参戦だ」と考える可能性も高まるからです。
過去と現代の戦車は、どこが違うのか
――過去と現代の戦車はどう違うのですか。
例えば、陸自の61式戦車は…

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